商品分析は7つのグラフと2つの集計表で定型化

商品分析には目的別に2通りのタイプがある

  1. 営業チームによる、顧客ごとの拡販策検討のための商品分析
  2. 企画・販促・仕入部門など、いわゆるスタッフ部門による、全社的な商品戦略、仕入計画検討などのための商品分析

営業チームによる商品分析は、拡販ターゲットとする顧客の「現状分析」の中で行われます。 この現状分析は、ターゲットに対する具体的な拡販策を立案するためのもので、営業担当者が収集した顧客のニーズ、課題などの情報を考慮しながら、現状の商品別販売動向を詳しく分析し、拡販に結び付く商品の選定や、顧客に対する販売サポート、課題解決の支援策を検討するために行われます。

一方、スタッフ部門による商品分析は、全社的な見地から、次のような目的のために行われる分析です。

  • 企画部門では、「稼ぎ続けられる商品構成」の実現が大きなテーマになるでしょう。
  • 販促部門では、「商品を育てるためのプロモーションや、社内外への販売サポート」が重要になります。
  • さらに仕入れ部門では、「品切れと不良在庫を発生させない」ことが最大のミッションでしょう。

さて、それぞれの部門で行われている商品分析、そこにはかなりの共通点があります。

それは、何が売れているのか、売上が伸びているもの、苦戦しているものは何か、価格競合はどうかなどの調査で、この部分は定型化することができます。

そしてその違いはといえば、営業部門では重点顧客を中心にした顧客別の分析。スタッフ部門では全社的な状況の分析から入るというところが異なります。

この記事では「共通の分析」について、商品分析に役立つグラフや集計表を紹介していきます。そしてこれらのグラフや集計表を定型化・標準化することによって、各部門の商品分析の質をそろえ、また高めていくことをお勧めするものです。

なお、これらのグラフや集計表を組み合わせて行う、部門ごとの具体的な分析手順は、次に示す記事でそれぞれ紹介していくことにします。

  • 営業部門における拡販策立案のための商品分析の手順
  • スタッフ部門における商品計画・販促・在庫戦略のための商品分析の手順

商品分析のための7つのグラフと2つの集計表

ここでは一連のグラフと集計表の事例を紹介していきます。

なお、事例に表示しているグラフは、「テレビ全機種の2年間の実績」という想定で作成しています。

また、それぞれのサンプルには、次の説明を添えています。

・グラフや集計表の簡単な説明(詳しいしくみや分析の考え方はそれぞれ別記事で解説)

・グラフや集計表からどんな情報を読み取ることができるか。(一般的な活用法)

・分析の具体例 「このサンプルをテレビの販売動向分析に利用すると…」

7つのグラフのサンプルリスト

・商品別売上マップ                      商品ごとの売上・利益への貢献度を視覚化

・商品別年計グラフ                      商品ごとの中期的な推移と構造的変化の点検

・商品別売上マップ軌跡                  商品の今年と前年の売上・利益の推移比較

・商品別日次・月次グラフ価格情報付      売上単価変動による販売数量の変化

・ 商品別日次・月次グラフ プロモーション表示付
     自社の拡販策の効果検証と外部環境の変化やライバル社の影響調査

・商品別累計グラフ
    現行商品の後継品、関連商品の育成状況調査

・Zチャート プロモーション表示付       個別商品ごとの詳細な推移分析

2つの集計表 (分析対象商品の好調・苦戦の要因分析に利用)

・顧客別商品別実績一覧表   「この客は何を買っているのか」顧客間比較

・商品別顧客別実績一覧表   「この商品はどこに売れているのか」の顧客 間比較

グラフと集計表のサンプル

商品別売上マップ

縦軸は売上、横軸は利益、「点」は販売されたテレビの機種ごとの年間累計値で描画

この売上マップは商品ごとの売上・利益への貢献度が一目でわかるので、売れ筋商品と死筋商品の見分け、拡販に注力すべき商品の選択、現在の品ぞろえ が適切かどうかの点検や、「儲かる品ぞろえ」の検討などに利用される。

商品別売上マップ

[分析例] テレビ各機種の実績のバランスを見ると、上位3機種、とりわけTV57VEへの依存度が非常に高い。継続的なテレビのビジネスを考えると、図の「No.2」や「No.3」の機種が次の主力商品になり得るのかを確認する必要がある。もしそうでない場合は、当面TV57VEの売上をキープしながら、後に続く商品を早急に育てていかなければならないだろう。


商品別年計グラフ

縦軸は売上、横軸は月、テレビの機種ごとに2年間の実績を移動年計グラフで表示

年計グラフは季節変動の影響を吸収して、中期的な実績推移を示してくれる。

商品別年計グラフ

従って商品ごとに実績の上昇・下降の傾向を見ることができるので、近い将来を予測するためにも利用される。

もしこのグラフが下降を続けている場合は、「構造的変化」を起こしている場合がある。構造的変化は、担当者個人の努力ではなく、組織的・抜本的な解決が必要な場合が多いので、下降の原因を見極めて、構造的変化を発見した場合は速やかに上司に報告をする。

[分析例] このグラフでは、順調に伸びているテレビはTV57VEのみで、2番手の機種は直近ではむしろ下降現象を起こしている。(この変化は競合品の影響をチェックしたい)

このような場合は、TV57VEに続く後継機種、代替機種の準備・育成を図ることが大事。

TV57VEの商品寿命の見極めとともに、低迷している機種の苦戦理由と解決の可能性を探り、併せて、新製品や代替品のリサーチも強化する。


商品別売上マップ軌跡

縦軸は売上、横軸は利益、青色は今年、緑色は前年

最も売れている機種の累計実績の月ごとの軌跡

商品ごとの売上マップの軌跡は、今年と前年の実績動向の違いを直感的に示してくれる

商品別売上マップ軌跡

[分析例] この例題は9月から翌年8月までの累計グラフである。

TV57VEは前年に比べて売上、利益、利益率とも大きく改善されているが、年始(1月~3月)の伸びに負うところが大きい。これが単なる季節変動によるものか、営業施策の効果なのか検証の必要がある。 → 次の「商品別日次・月次グラフ価格情報付」グラフを参照


商品別日次・月次グラフ価格情報付

右上のグラフは日次実績、右下のグラフは月次実績
縦軸は金額と数量、横軸は日または月、棒グラフは数量の実績

▲は原単価、▲は売単価(それぞれ「日」または「月」の平均値)
グラフに示したデータは、最も売れている機種の実績を示したもの

このグラフは個別商品の価格政策が販売数量に及ぼす影響を調べるときに利用される。

商品別日次・月次グラフ価格情報付

[分析例] TV57VEは仕入原価上昇を売価に反映させた影響(落ち込み)は大きかったが、仕入原価改善時に売価を下げて売上を大きく伸ばした。この機種については、実績維持に価格政策も重要と考えられる。


商品別日次・月次グラフ
    プロモーション表示

右上のグラフは日次、右下のグラフは月次
縦軸は金額と数量、横軸は日または月、棒グラフは数量の実績

このチャートは、最も売れている機種の実績を示し、グラフ上部に当社のプロモーションや、ライバル社の施策など、外部環境の変化を示したもの 実績動向を示すグラフに当社のプロモーション、ライバル社の値下げや他社の新製品の発表などの情報を併記することによって、「競争」の視点を含めた動向分析が可能になる

商品別日次・月次グラフ
  プロモーション表示

[分析例] TV57VEのプロモーションや施策の効果を検証するほか、ライバル社の「値下げ」や、「新製品の発表」などの影響の有無を判断し、対応を検討する。


商品別累計グラフ

縦軸は売上、横軸は月

これまでに販売されたテレビの機種ごとに、1年ずつ2年間の実績累計グラフを描いたもの
このグラフは、メイン商品の後続商品が育っているかを判断するのに向いている。

商品別累計グラフ

[分析例] 後続機種が育つまでTV57VEを死守しよう。


Zチャート プロモーション表示

縦軸は売上、横軸は月

最も売れている機種の実績をZチャートで示し、上部に当社のプロモーションや、ライバル社の施策など、外部環境の変化を示したもの

プロモーション効果は月次、中期的な成長の傾向は年計、季節変動は累計に出ている

Zチャートプロモーション表示

[分析例] TV57VEの総合的な推移の要因を分析する。