業績アップの販売分析入門講座(第6回)【spp】

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第6回 グラフやチャートが受け手に及ぼす作用(3)

「位置」が教える戦略

 「全地域ガンバレー」から脱却

ある銀行の支店で顧客拡大を目指すべく、担当エリアの地域分析が行われました。顧客を新たに増やそうというのですから、当然そこにライバル銀行との競争が生じます。そこで最初に、競争という観点から地域毎の実態を調べていきました。

まず地域ごとに世帯数を調べ、自店の顧客も地域ごとに件数をカウントして「シェア(自店の顧客数÷世帯数×100%)」を計算し、次に地域毎の顧客件数の対前年伸び率を計算して、6-1図のようなポートフォリオを作りました。(この図の元になる数値はシミュレーションによるもので、地域名も県の名前に変えてあります。)

地域別ポートフォリオ
6-1図 地域別ポートフォリオ

このチャートは見る人にいろいろな情報を伝えてくれます。

まず言えることは、とにかくわかりやすいですね。この図は、たくさんの地域の状況を整理して把握するには、たいへん効果的です。

たとえば、「神奈川」と呼ばれる地域と「岐阜」と呼ばれる地域では、顧客数(円の大きさ)は神奈川の方が大きいのに、シェアでは岐阜の6分の1しかありません。これは神奈川にまだまだ開拓の余地があることを示していますが、顧客数の比較だけではわかりにくい情報も、この図からは簡単に読み取ることができます。

さてもう一つ、この図はとても重要な情報を提供してくれます。それを読み取るコツは、ライバルの存在をはっきりと意識して見ることです。当然ライバル銀行も、日々市場の動向をウォッチしています。

シェアも伸びも大きい地域

ライバル行にとって、当行の動きが目に付く地域はどこでしょう。「静岡」と「秋田」地区の動きが一番気になるのではないでしょうか。

なぜなら、大きなシェアを持っていて、かつ大きな成長をしている企業がライバルに目立たない訳はないからです。

したがって、この2つの地区では必ずライバルが対抗なり応戦してきます。

当行にとってはシェアもあって伸びてもいる魅力的な地域が、実は一番の激戦区にもなるのです。そして当然のことですが、この地域で当行がとるべき戦略は、真っ向勝負で勝つことです。

シェアが大きく伸びが小さい地域

では同じく当行のシェアが大きい「岐阜」や「長野」地区はどうでしょうか。

この地域の成長率はあまり大きいものではありませんが、この様なケースでは2つに分けて考えると理解しやすくなります。この成長率が過去からの状況をみても安定している場合と、成長率が下降傾向にある場合の2つです。

もし安定しているならば、ライバルは「この地域で当行に仕掛けることは、労多くして益(成長率)少なし」と判断するでしょう。それでもライバルが動くとすれば、それは対抗・応戦ではなく、侵略・切崩しということになります。

一方、成長率が落ちてきているなら、すでにライバルの侵略が始まっているか、または何らかの理由で顧客の当行離れが進んでいる可能性があります。これを防ぐために当行がとるべき最重要課題は、顧客に対する日頃の深化工作となります。その上で、常にライバルの動きをウオッチして、攻撃を感知したら直ちに対応策を講じることが必要です。

シェアが小さい地域

今度は当行のシェアの小さい地域について考えてみましょう。

当然ここではシェア拡大が最大の課題、つまり当行にとっては新規顧客の開拓ということになります。そのためには、当行のサービスの利点を知らしめて、見込み客を増やしていく必要があります。

この場合もやはり、当行とライバル行の位置付けを考慮に入れなければなりません。

相手がすでに、この地域で大きなシェアを持っている場合は、当行は相手にとって侵略者になります。ライバルが当行の動きを察知すれば、すぐに防戦してくるでしょう。

当行がライバルより大きなエネルギー(人・物・金)を投入できない限り、大規模宣伝などの真っ向勝負は避けるべきで、営業チームによる地道な開拓活動を展開していくべきでしょう。

説明が長くなりましたが、ポートフォリオはたくさんの項目の状況を、わかりやすく整理してくれるばかりではなく、その位置で、競争に勝つための基本戦略を示唆してくれる、たいへん優れたチャートといえます。(第2章で詳述)

同行では、「全地域ガンバレー」から脱却して、地域ごとにメリハリをつけた営業が展開されました。